こんにちは!
今日は、中田敦彦さん推薦の
『海外ドラマはたった350の単語でできている』
についてレビューしていくよ!
この本に対する中田さんの解説が誤りであることは、
他の記事で指摘してあるから、
この本に本当は何が書いてあるかについてレビューするね!
タイトルが長いから、以下この本のことを、
『海外ドラマ350』と略すね。
また、下の要約は吉宏が気になったところだけだから、
網羅性はないよ。
『海外ドラマ350』の内容の要約
はじめに
まず、この本の想定読者は、人並みに英語を勉強してきたのに、英語が話せない人である。
そして、そんな人たちに対して、「必ず英語が話せるようになる勉強法」を教えることがこの本の目的である。
著者は、仕事の関係でアメリカに2年間滞在することになったが、半年経っても、一年経っても、英語が聞き取れないし、話せるようにならなかった。
そんな中、非ネイティブの同僚に、どうやって英語を話せるようになれたかを聞いたところ、「海外ドラマをいっぱい見たら話せるようになったよ」と言われ、海外ドラマを見るようになった。
著者は、英語字幕付で毎日ドラマを見続けているうちに、ドラマのセリフが中学レベルの単語ばかりで構成されていることと、自分の考えや気持ちを語る表現が多いということに気づく。
これが英会話を身につける最大のカギかもしれないと思った著者は、海外ドラマのセリフを分析し、ネイティブが使っている英単語に関して、驚きの事実を得る。
この本のコンセプトは「やさしい単語で話し、やさしい単語を聞き取れるようになる」ことである。
(↑著者は、この本の中のトレーニングで、海外ドラマがきちんと理解できるようになるとは言っていないことに注意)
Chapter1 本当に必要な英単語は350個!?
主張①
著者が、世界中で大ヒットしたアメリカドラマ『SEX and the CITY』(SATC)を分析したところ、シーズン1~6の全94話、2700分に出てくる英単語数は12088個であった。しかし、全セリフの92%は1896個の単語で構成され、約80%は350個の単語で構成されていた。
主張②
会話のベースは「私の気持ち」であるため、客観的な事実を述べるニュースよりも、主観的な感情を表現するドラマのほうが、英会話の教材として優れている。
主張③
英会話のためには、まず最初に、350個のシンプルな言葉を使いこなせるようになる必要がある。まずは、手持ちの単語を実際の会話で使ってみて、必要だと感じたときのみ、新しい単語を覚えていく。
Chapter2 正しい英会話学習法
主張④
アメリカ人は外国人のスピーキング力が低くても聞いてくれるが、リスニング力が低くても、話すスピードをゆっくりにしてくれない。なので、英会話には、高いリスニング力が必要。
Chapter3 短期間でスピーキング力をアップ
主張⑤
スピーキングでは、使う単語を最小限にして、やさしい単語で瞬時にセリフを作る必要がある。
主張⑥
スピーキングのトレーニングには、瞬間英作文が良い。
Chapter4 100%リスニングを身につける方法
主張⑦
リスニング力 = 語彙・文法力 × 瞬間理解力 × 音を聞き取る力 である。
リスニング力を上げるには、語彙・文法力 → 瞬間理解力 → 音を聞き取る力、の順でトレーニングする必要がある。
主張⑧
語彙・文法力を上げるためには、子供向けのものやジブリ映画のDVDの英語字幕を読解することと、中学英語を復習するのが良い。英語字幕は50%以上理解できればよい。なお、読んでもわからないものは、聞いてもわからない。
主張⑨
瞬間理解力を上げるためには、子供向けのものやジブリ映画のDVDの英語字幕を多読するのが良い。本でなくDVDで多読する理由は、英語をナチュラルスピードで読まされるからである。適当でも、わからなくても、単語を調べなくても、全然聞き取れなくてもいいので、毎日15~20分ひたすら続けること。
主張⑩
音を聞き取る力を上げるためには、フォニックスを学び、海外ドラマで字幕シャドウイングを行うのが良い。英語の音に慣れるトレーニングであるため、文の意味はわからなくても良い。
主張⑪
海外ドラマのワンシーンをディクテーションすると良い。ディクテーションをすると、自分が聞き取れない理由がわかるし、予測力・想像力を高められる。
『海外ドラマ350』に対する吉宏の評価
この本に対する吉宏の評価を一言で言ってしまうと、内容は良いのに、タイトルが非常にミスリーディングな本である、ということである。
中田敦彦さんは、『海外ドラマはたった350の単語でできている』というタイトルから、大学まで出ていれば、必要な単語はもうすべて知っている、新しく単語は覚えなくていい、という風に解釈していたようだが、この本はそのように誤読されても致し方ないつくりではある。
著者は、スピーキングでは、単語は少ないほうがいいと言いながら、リスニングでは単語力を上げる必要があると言い、海外ドラマを見る際には、音が聞き取れていれば良く、単語がわからない部分は、推測すればいいと言っている。
一方で、推測をつなげて海外ドラマの内容を理解できるためには、どの程度の単語力が必要とされるかについては明確に述べられていない。著者が分析したデータから推測するに、10000語程度は必要だろうとは推察できる。
また、『英語上達完全マップ』の森沢洋介さんは、英語でペーパーバックや雑誌などを読むには12000程度の語彙力が必要だと言っているので、海外ドラマも同じであろうとは考えられる。
この本の著者の主張を簡潔にまとめると、以下のようになるだろう。
1 新聞やニュースは客観的な事実を述べ、ドラマやアニメは主観的な感情を表現するため、英会話の教材にはドラマやアニメが良い。
2 海外ドラマを分析すると、80%は350語でできているので、英会話をするには、難しい単語を覚えるよりも、まずこのシンプルな350語をうまく使いこなせるようになることが重要である。
3 英会話では、スピーキング力が低くても、相手はある程度話を聞いてくれるが、リスニング力が高くないとどうにもならない。
4 スピーキング力を上げるには、瞬間英作文をするのが良い。
5 リスニング力を上げるためには、子供向けのものやジブリ映画のDVDの英語字幕を多読すること、フォニックスを学ぶこと、また、海外ドラマで字幕シャドウイングを行うこと、ディクテーションを行うことが効果的である。
『海外ドラマ350』のおすすめDVD
ここでは、『海外ドラマ350』で挙げられている、教材としておすすめなDVD(Blu-ray)を紹介しておく。
ただし、海外ドラマや映画は、リスニングの英語教材として非常に難易度が高く、初学者向きではない。TOEIC900点あっても、海外ドラマや映画は半分も聞き取れないのが普通である。
そのため、著者も述べているように、最初は、子供向けのものやジブリ映画のDVDなどを教材とすべきである。
ただし、これらのDVDも、市販の英語教材と比べれば、難易度が高いと言わざるを得ないため、少なくともTOEICのリスニングのスコアが350点程度は取れるようになってから、教材として使用すべきであろう。
難易度としては、ジブリ < ディズニー < 海外ドラマ の順である。
以下が、『海外ドラマ350』のおすすめDVDランキングである。
(この本では1~10位までが掲載されているが、1~3位までのみを紹介するにとどめる)
なお、DVDを使ったトレーニング方法の詳細は『海外ドラマ350』を参照されたし。
※1 リンク先の商品に「仕様」が複数ある場合、英語音声・英語字幕のものを選ぶこと。商品ページ真ん中あたりの「登録情報」に音声・字幕の種類の記載がある。仕様によってはフランス語などのものもある。
※2 リンク先商品が輸入品の場合、DVDはリージョン1、Blu-rayはリージョンBなどを再生できるプレーヤーが必要な場合がある。また、日本のプレーヤーでは再生できなくても、パソコンでは再生できたりすることがある。リージョンフリーのプレーヤーは次のプレーヤーの画像をクリック。
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